蟻の飼育

昨年から蟻を飼っている

そろそろ蟻の飼育をし始めて1年半になろうとしています。
何故蟻なのか?と言われると困るのですが、当初の目的は、作品制作のためでした。ぼくは、作品制作に蟻を使ったりするのですが、最近は、暑すぎて外に出ている蟻が少ないのか、撮影も上手くいきません。そこで、小型種の蟻を中心に、多少の中、大型種を飼うことにしました。
もう一つの理由ですが、数十万~数億の社会を形成できる生き物は、蟻と人間だけです。そういう意味で、何故社会が維持できるのか?とか異なる社会は、何故相いれないのか?を観察するという意味合いもありました。


飼育スタート

トビイロシワアリ 大き個体は女王

最初に飼い始めたのは、トビイロシワアリです。アリを販売されている、アントミュージアムさんからお迎えしました。
実は、この年、NHKさんからの取材があり、ぼくのドキュメンタリー番組が放送されるということで、絶対に飼育も失敗してはならないという感じでした。番組の中で、作品を制作する必要があったのです。
この蟻に関してですが、最も身近な、庭にも沢山いるアレです。庭にたくさんいる蟻の小さいほうのやつです。それでも作品を作るには、初期コロニーでは話にならないので、それなりの数は必要です。
飼ってみて思った事ですが、蟻は思ったほど早く増えないということです。数が増えてくると、増える加速度が上がるという感じで、ワーカー(働きアリ)が少ない状態では、あまり増えないのです。
ただ、この蟻に関しては、多雌(女王が複数いる)コロニーを形成する蟻なので、数が多ければ一気に増えるという特徴があります。個人的な感想ですが、女王同士は集まってはいますが仲が良いわけでもなく、権力闘争で死に追いやられる個体もいます。無事冬を越せたら、巣内に新女王が生まれる事があるので、女王の数は回復します。

アズマオオズアリ 一番大きい個体が女王 頭が大きい個体がメジャーワーカー 小さい個体がマイナーワーカー

色の違う個体も必要だった事から、こちらは山でコロニーごと採集することにしました。広島県の北部には、この蟻はそれなりに多いので、よく探せば見つかります。最初はよく増えるのですが、調子を崩して、数を減らす事も多い気がします。それも、そのうち調子が良くなって、また増えたりするので、よく分かりません。
この蟻は、トビイロシワアリのような多雌社会ではないので、単雌(女王は1匹)で社会を形成します。女王1匹の割には増えるのが速い感じです。

他にも複数の蟻を飼育していますが、それはまた後々記事を書いていこうかと思います。


狩りをする ニシムネアカオオアリ

蟻の飼育で、一番大変なのが餌やりかもしれません。
ご存じのように、蟻は狩りをする生き物なので、昆虫や他の生き物も食べます。蜜だけだと、どうしても栄養価が偏るのです。特に繁殖するためには、タンパク質が必要になります。一部には、あり巣 in undergroundさんのスイーツパウダーpro のような、タンパク質入りの蜜餌もありますが、蜂蜜やメープルシロップのような蜜餌には、そういうものが多く含まれません。
個人的には不本意ながら、ミルワームトリニドショウジョウバエ等の肉餌は与えている感じで、時々、ウエットタイプのキャットフードを塩抜きをして与えてる感じです。
ここ最近は、ロリキート(蜜を好む種のインコ類)の餌である、ローリーネクターを与えてやると食べる事に気がつきました。この餌は、ウエットはもちろん、ドライのままでも食べる種類がいるので楽です。ホエイプロテインが入っているようなので、タンパク質の面でも大丈夫かもしれません。この餌だけで調子を崩さないのであれば、主食にできればという感じでしょうか?

巣について

自作の 石膏巣

蟻の飼育には、当然ながら巣が必要です。そういった情報は、ネット上にも沢山あるので調べてみると良いでしょう。
蟻と巣のタイプには相性もあります。すべての蟻が同じタイプの巣を好むわけではないので、飼おうとしている蟻が何という種類なのか?については、ある程度理解しておく必要があるかもしれません。
最近はSNSというツールもありますので、そこで蟻の種類を聞くのも良いかもしれません。
メジャーな巣には、まず 石膏巣試験管巣アクリル巣3Dプリンター巣 等があります。も
もし、工作に自信があるのであれば、自作で巣を作る事をおススメします。というのも、蟻の種類に特化した巣で飼育が可能になるからです。

気をつけている事

木の実を運ぶ アシナガアリ

多くの生物に言える事ですが、一度飼い始めた生き物は、安易に逃がしてはいけません。というのも、国内種であれ、外来生物のように振舞う事があるからです。
国内ですら蟻は多様で、例えばこちらの県には生息しているのに隣の県にはいないとか、山が違えば住んでいる種類の蟻が違うとか、同じ種類なのだけど、亜種のような感じで若干異なるという感じで、交配による遺伝的汚染も考えられるのです。

トビイロケアリ の初期コロニー


あと、蟻は意外にも長寿です。女王アリの寿命が、コロニーの寿命とも言える生き物ですが、特にヤマアリ系の蟻は長寿で、トビイロケアリのような小さな蟻でも10年以上生きるというのは珍しくないようです。

まだありますが、蟻は意外と空腹には弱いです。変温動物ですが、けっこう多くの食料を頻繁に食べないと、コロニーごと調子を崩したりします。通常、2~3日に一度の給餌が必要で、種類によっては、ほぼ毎日与えないと、卵や幼虫を食べてしまう種類もいますので、それこそインコのように毎日の世話が大変という点も注意するべきところです。

それらを理解した上で飼えば、非常に面白い生き物でもあると思います。

Posted by 中村 智道

映像作家・写真家
2018年に体調を壊してから、現在に至るまで、まともな制作が出来なくなったことから、極力エネルギーを使わずに制作する方法を考えています。
みどりの王様は、その実験的な試みで、なるべく消耗することなく制作する方法をこれで考案中。
ペットの撮影も、案外出来ます。気楽にお声をかけてください。
無理の無いよう、のらりくらりとやっていきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です